サパ旅行記
ベトナムの北、中国との国境にある、サパという町に行ってきました。今回の旅行の目玉は、2日間のトレッキングツアー。他にもいくつかおもしろい経験をしたので、いくつかの話題に分けて書いていこうと思います。
クアラルンプールからハノイ空港に到着して、ハノイからラオカイという町まで、寝台列車で行くことにしました。寝台列車の乗車まで時間があったので、ハノイで夕食をとることに。近くに人気のベジタリアンレストランがあったので、そこに行くことにしました。ベジタリアンのお店は行ったことがなかったんですが、野菜だけとは思えないくらい満足度が高かったです。夕飯を食べて、電車の駅へ。寝台列車には今まで一度も乗ったことがなくて、今回が初めてでした。私が今回乗った電車は、車両の中にさらに小さい個室がいくつかあって、その中に4台の細いベッドがある、という造りのものでした。ベッドは、下に2台、上に2台で、二段ベッドが並んでいるような形です。個室の中には水や軽食、スリッパやおしぼりがありました。個室の外の共有スペースには、洗面台とトイレもありました。夜、列車に乗り込む頃にはあたりは真っ暗で、なんとなくワクワクした気持ちになりました。失礼ながらわ「ベトナムの寝台列車って、ちゃんときれいなのかな…」と心配していたんですが、そんな心配は無用なほど、個室の中や寝具は清潔でした。出発が夜の22時で、到着は朝6時。ちょうど寝る時間にぴったりでしたが、旅行の興奮と電車の揺れや騒音で、あまり眠れませんでした。
トレッキング
ラオカイという街に着いてから、サパに行くまでにさらにバスで1時間半かかります。マイクロバスに乗って、山道を進んでいきました。私のような観光客だけでなく地元の人も利用しているようで、町中で手を上げて止まっている人を何人も乗せてあげていました。長かった移動もようやく終わり、サパに到着したのは朝8時頃。トレッキングツアーの開始時間まで一時間ほどあったので、腹ごしらえをしました。何を食べようか迷ったものの、「ベトナム料理はこれからたくさん食べるだろう」と思って、トーストとオムレツを食べました。9時になると、ガイドさんが待ち合わせ場所に来てくれました。今回のツアーで2日間案内してくれたのは、チンさんという若い女性。モン族の方で、トレッキングツアーを主催する会社に、ガイドとして勤めているようでした。今回の2日間のツアーでは、滝や竹林などの自然を楽しみながら、いくつかの村を回りました。ツアー中の一泊は、なんとガイドのチンさんの義理のご家族の家にホームステイをさせてもらいました。村に向かう道中、チンさんといろいろなことについて話しました。モン族の村では早婚でたくさん子供を生むのが当たり前で、彼女はなんと15歳で結婚し、20歳にして2児の母だったんです。私の価値観では想像できない人生だ…と驚きました。また、中学校までしか卒業しておらず、英語は独学、しかもツアーを通じて学んだというので、感嘆しました。彼女のファッションもとても素敵で、「素敵なスカートですね」と言ったら、それはお母さんの手作りとのこと。その夜はチンさんのご家族の家に泊めてもらう予定だったので、スカートを見せてもらうことにしました。
サパで有名なのは、何といっても棚田だと思います。棚田というのは、米を植えている畑が、階段のように連なっているもののこと。今回の旅行は9月末だったので、残念ながらベストシーズンではないようでした。というのも、雨季の始まりで、しかも米の収穫の直後だったので、緑や黄金の棚田を拝むことができなかったんです。それでもきれいでしたが、やっぱり夏に訪れるのが一番かな、と思いました。それから、トレッキング中に印象に残っているものの一つは、野生動物。バッファローや鶏、鴨、犬など、たくさんの動物を見かけました。バッファローは間近で見るととても大きくて少し怖かったですが、大人しい性格のようで、近くによっても気にしていないようでした。2時間半ほど歩いて、ある村の中のレストランへ。ベトナムでよく食べられている、チャーハンと焼きそばのようなものを食べました。満腹で元気を充電したところで、ホームステイの家に向かってさらに進みます。この旅行の前の何日かは雨が降り続いていたようで、道はかなりぬかるんでいました。土に足を取られながら歩いていると、カゴを背負ったモン族のおぱあさんが、手を取って助けてくれました。親切だな…と思ったのも束の間、実はこういった人たちはみんな、「お手伝い料」を求めている人たちでした。といっても、現金を求められるのではなく、自分たちが作った工芸品を売りつけてくるんです。お願いしてはいないものの、道が悪い中たくさん助けてもらったので、心ばかりお支払いすることに。さて、また数時間歩いて、ようやくホームステイの家にたどり着きました。ガイドさんは兄弟が多く、何人もの家族が出たり入ったりしていました。シャワーを浴びてゆっくりしていると、チンさんがやって来て「夜ご飯の準備をしてみませんか?」と誘ってくれました。せっかくなのでとその申し出を受けると、頼まれたのは春巻きづくり。ベトナムでは生春巻きや揚げ春巻きがよく食べられていて、私は具材を包むのを手伝いました。チンさんはほとんど休みなくガイドとして働いていて、しかも仕事が終わって家に変えると、今度は母として夫や子供のごはんの準備をしていると教えてくれました。本当に働き者…。ごはんの準備ができると、他の参加者の方と一緒にテーブルを囲んでのごはん。家族のみなさんが作ってくれたのは、ベトナムの家庭料理。空芯菜の炒め物や、鶏と豚の野菜炒め、豆腐とトマトの炒め物などでした。参加者同士会話を楽しんでいると、家族の一名が、「ライスワインを飲んでみませんか?」と提案してくれました。日本酒と似ているなら美味しそうだと思い飲んでみたのですが、日本酒とは大違い!とっても強いお酒で、日本酒よりも焼酎やウイスキーのような蒸留酒の味がしました。他の人達もみんなびっくりしたようで、なんとも言えない顔をしていました。たくさんいただいて、この日のプログラムは終了。疲れていたので早めに寝て、次の日に備えました。
二日目は、また同じメンバーでの朝ごはんからスタート。その前に、チンさんのお母さんが手作りのスカートを持ってきてくれました。どれも素敵な柄で迷いましたが、他の人にも手伝ってもらって、一着購入しました。朝ごはんは甘いものが多めで、甘党の私にはありがたかったです。クレープの生地にバナナやパイナップルを巻いて食べるものや、バナナ味のドーナツのようなものなどがありました。朝ごはんを食べて準備をして、いよいよ二日目のトレッキングがスタート!この日は滝と竹林を見て、またいくつかの村を訪れるという行程でした。美しい自然は写真を見てもらうとして、私が驚いたのは、地元人々のオートバイの運転です。決して整備されているとは言えないような急勾配で細い道でも、楽々とバイクで通るんです。車が通れる道が少ないこの地域の人にとって、オートバイはまさに生命線みたいでした。午前中にかなりの距離を歩いて、滝の前のレストランでやっとランチ。この日も同じようなメニューを食べました。一日目もそうだったんですが、レストランで食事をしていると、必ず物売りの女性たちが来ます。売っているのは多かれ少なかれ同じもので、ポーチやおもちゃ、ミサンガなどでした。中には10歳前後の子供もいて、複雑な気分になりました。兄弟が多く学校に行けないので、こうして働く子供も少なくないようでした。昼食を食べて少し歩き、そこから街の中心までは車で送ってもらいました。
ツアーを終えてホテルに荷物を置き、少し街歩きをすることに。ホテルは棚田が見える、少し高いところに位置していて、チェックインした時間にはちょうど晴れ間が見えて、景色を楽しむことができました。ホテルや民宿はどこも景色を売りにしていたのですが、そのほとんどは天候に大きく左右されていました。どんなに景色がいいはずの部屋でも、霧がかかると真っ白で何も見えなくなってしまいます。
サバの街は私の想像とは違って、思ったより発展していました。便利なのはいいことなんですが、発展するというのは必ずしもいいことではないな、と思いました。どの店も、けばけばしいネオンが輝いていて、いくつかの店では大音量で音楽をかけているんです。特に夜になるとそれが一層激しくなって、町の広場では出し物をする家族やスピーカーで音楽を流している人などがいました。夜ごはんを食べてホテルへ帰る道の途中気になったのは、子どもたち。三歳か四歳くらいの子が、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて外に座っているんです。二人ともまだ親の助けが必要なはずなのに、子供の多さや貧しさからこうなっているのかと思うと、少し残念な気持ちになりました。サパの町中にもものを売ろうしているモン族の人はたくさんいてわその中にはやはり、赤ちゃんをおぶっている女の子もいました。政府の支援もあまりないようで、教育を満足に受けていない子どもたちがわこの街に生まれて他の街に出ていくというのは難しいことなのかもしれません。ホテルに戻り一泊して、次の日の朝。朝食が美味しいホテルという評判だったので、楽しみにしていました。いくつかの選択肢がありましたが、私が選んだのはフォーという米でできた麺。柔らかくてスープも出しが効いていて、朝にピッタリの味でした。満足してチェックアウトしたあと、バス停に向かいます。サパからハノイまでの帰り道には、電車ではなくバスを使うことにしていました。普通のバスではなく「キャビンバス」と呼ばれるもので、バスの中にはカーテンで仕切られたスペースがあり、それぞれにベッドのような座席があります。座席はカーテンと壁で仕切られているので、プライバシーも守られていました。6時間のバスの旅、途中で何度か休憩をはさみます。サービスエリアのようなところで休憩をするのですが、トイレが有料でびっくりしました。ヨーロッパみたいですね。サービスエリアの中は日本と少し似ていて、軽食が食べられるレストランやお土産、お菓子などが売られていました。